2018年12月28日

海に落ちた星を見て

ガラスのような水面を見ていて

空の星は海の星が映っているのだと思った

小さい波に揺れる光がとてもキレイだったから

ウィンドーに飾られているサテンドレスが

わたしの瞳の中でキラキラと写っていて

今にも踊り出しそうで胸がときめいた

初めて見た光の光沢があまりに美しかったから

きっとその美しさが私の生き方に着床して

私は醜いものを受け入れない偏った大人になった

今そんな自分に苦笑いしながら

少しの誇りが胸にあるのを感じている

バランスを取る必要など人生には不要に思える

光の粒子はその場所では生きられないのだから

 

譜奏317

2018年12月26日

一年を待ち続け

一秒と一日で終わるクリスマスの過ぎた朝

私は物事の終わりを死と感じて肩を落とし

母を困らせるような要求をしてダダをこねた

悲しかった

何かは終わり全てに限りがあるという現実が

これからの自分をきっと怯えさせていくと予感したからだ

それから私は少しづつ変わっていった

自分が本当に楽しみとすることは

自分自身の中に内在させようと私は思ったのだ

私自身の中にだけあって終わらせなければ

死と感じるようなひどい悲しみはもうやってこないのだからと

そして私は表現者という流浪の民になった

最後の一秒まで生に同響しながら舞うと決めて

 

譜奏316

宿命前夜 蒼の夜 3

私が死んだら

永遠に銀河に漂っていたいと

あの日

星と話したのに

運命と名乗る風に

あなたの願いは何かと訊かれて

私は不自然に見えない柔らかさで

手に口づけをと

微笑む

悲しみのあまり

話さなくなった

私の罪は

毒を甲に塗っていただけと

前夜に祈っていたから

 

譜奏315

2018年12月21日

悲しいことも苦しいことも飲むだけで

すっかり忘れてしまうサプリメントが出来てしまったら

どんなに良いだろうと思った後

そうなったら人間はマネキン人形のように

みんな同じような顔になってしまうように思えて

さすがにそれはかなり気持ちが悪いことだと思った

利便も程度をわきまえて望まないと

人間を物事のどちらも選べなくさせていくのではと

そんな気がする

そう思った後

もし私が私として生きられる命がもう一度あったら

登場人物は全て同じ人が良いと思い私ははっとした

父母の顔がマネキン人形のように
浮かんできて

私を知らない人のように通り過ぎていく気がしたからだ

 

譜奏314