クレヨラ

―――――自分らしく生きるって
―――――自分らしいってなんですか

―――――――――『クレヨラ』より

 

鈍くてもぼんやりしていても

お人好しで

気が弱くても

大人に行き着けば

人は誰しも

色んな事が見えてくるもの

もしかして人は人生は

卑しいメイクをして踊る

孤独なピエロなのだろうかと

ある日不安でピエロに問えば

彼は涼しい口で

悲しみの目で

ただ傲慢であればと

言った気がした

 

譜奏43

2017年3月29日

兆しもなく

私の湖面から流されて

冷やされた海霧が

失くした愛に

繁殖したら

海水は鎮められ

波が狂ったように

宙に引かれ

海は

月まで

流れていくの

青い涙の

人魚の祈りを

叶えるように

 

譜奏42

2017年3月27日

人は一生を

何かを選んで生きるのに

ただ一つ

欲望だけは選べない

神の存在を認めてみよう

ならばあなたは何を試みて

人という命をデザインしたのかと

その問いは必然でしかない

欲望に論じる是非は解かれ

ただ思うがままに

ただ与えられたままに

むしろ一際美しい紋柄の

色鮮やかな肉食の蝶のように

舞えばいいのだと

 

譜奏41

愛流浪な女たちへ

―――――いつかきっとこんな不器用なわたしにも
―――――運命という訪ね人がくるのかしら

―  ――『愛流浪(ブルース)な女たちへ』より

 

人の鼓動が生む電流は

脳の100倍

迷いも不安も切なさも

感じることはすべて

重く鈍い鼓動音になる

私はいつ

何かを見失ったのだろう

考えても考えても分からないのに

鼓動は容赦なく

私の夜を打ち付ける

このままでいいはずない

私は胸の熱を火にして

燃えさかる鼓動を

生きていくのだから

 

譜奏40