2019年4月29日

瞬く間にも時は過ぎて

振り向く幼な子

母の胸に

夢を急ぐ哀しい人

たたずむ石の壁

風に揺れる

私に似ていた名もない花

人の群れに残されても

祈りの声を消すように

幾千年流されて

一人で見上げる太陽

愛した人眠る空

どこまで行くのか

傷んだ足で

 

譜奏369

2019年4月26日

眠れない夜に身を丸めて

帰らない時間を数えても

補いきれない日々は

水に刻む歌のように

月に冷えて

遠ざかっていく海のように

私を淡い影に変えていく

キレイに光沢させたウソも

真ん中の純粋もあの夜に

みんな涙のように棄てて私

飾り言葉を投げつけてしまったの

なのに何故

愛のように思い出しているの

この手を逃げていった疵なのに

 

譜奏368

2019年4月24日

スタンドの淡い陰

二人だけの夜ね

きっと私のせいなの

愁いだけ残して

これが最後の恋だと

胸で言い続けてきた

強がりとわかっても

さびしさに気づいたら

何も言わずに

私の涙

唇で拭って

あなただけなの

子供のように

わがままを言えたの

 

譜奏367

2019年4月22日

砂にかくした

ガラス球のように

人は帰れない

幼い愛に

強い眼差し

痩せた恋を置いて

どんな夢があなたを

つかまえていたの

大人の振りをして冷たく微笑んで

閉じたの

光に背くように

空にかざした透けた手には

どんな明日が愛が

見えていたのですか

 

譜奏366