2017年10月30日

夜をみつめる時

自覚しない厄介な自分が現れて

人の世界の言葉の不足を嗤う

想い

愛情

そして次は遥かに魂なのかと

嗤う

私がある歌を歌う時

自覚してきた自分に向かって

その粗い空間のような隙間には

韻律という磁波が途切れない波のように

平面を継ぎ続けていると感じると

今度は夜が私をみつめて

夜明けは苦しいのと言い出すのだ

 

譜奏134

2017年10月27日

美しく生きるということと

キレイに生きるということとは

少し違うように見えて実は全く違う別物だと気づかされる

先人たちも伝え切れなかったのだろう

その点は形容も貧弱なものが多く

個人の偏った比喩に止どまるものがほとんどだ

美しくは心に血が流れるものであり

キレイには人生としての潔癖さが背後に見えるものと

今私はそう暫定している

少女の日からただ美しく生きたいと希ってきた私は

私の身体で感じられるものしか信じない頑なな大人になっていた

朽ちているのに形だけ遺った高揚しただけの隠喩など

決して食べてはいけないのだと

きっとあの朝の太陽が教えてくれたに違いないと

 

譜奏133

2017年10月25日

幸せを見比べる人の目線を感じて

それは演技なのだと思ったら私は捻れて

その人の空間の全てが薄っぺら過ぎて

息を吸うのも苦しい季節ほどの長さの時期があった

ちょうどそれは私の青春時代の最初の頃だった

人は未意識に自分の心を惑わせる人格多重だ

私はそう決めつけて警戒しながら青春を過ごすことになった

絶望を永遠に奪い去るサプリメントが将来開発されたら

そのサプリメントのネーミングは絶望と名付けられるのが相応しい

そう思うしかなかった

何故多くの未意識は比べるのだろうという問いも今はない

多重など雨降る小屋の三文役者なのに

人生はパソコンのように上書きなど出来ないんだからと

もう一人の影が教えてあげたら良いのにと

 

譜奏132

2017年10月23日

人と話す時は何ともないけれど

病的に

月と話す癖のある私は

何かを尋ねられることを嫌っている

月に

だから私は一方的に心のままを

ただ胸の中でくりかえす

決して言葉は使わずに

このようなナルシスト的な自分の側面を自覚した時には

私はもうそういう私になっていた

窓辺に甘い水を置き

蛍を呼ぶように夜空をみつめる

その姿が美しくなければならない

たとえ月を盗んでもと

 

譜奏131