不可解で不公平で
理不尽な出来事が大枠で
細部で起きていると言っても
あまり反論のない
今の私たちの暮らし
神はいるのかというフレーズも
近頃はほとんど
聞かない
月の隠れる日に私を襲う
酷い悪夢が私に一つだけ
教えてくれたことがある
神の顔に触れることができるのは
祈りや信仰などではなく
実は罪そのものなのだと
譜奏29
不可解で不公平で
理不尽な出来事が大枠で
細部で起きていると言っても
あまり反論のない
今の私たちの暮らし
神はいるのかというフレーズも
近頃はほとんど
聞かない
月の隠れる日に私を襲う
酷い悪夢が私に一つだけ
教えてくれたことがある
神の顔に触れることができるのは
祈りや信仰などではなく
実は罪そのものなのだと
譜奏29
夜の皮膚が破れて落ちた
海面で
穏やかな波の震動に
身体を預けてみつめた
私だけの星座
ポラリス
あなたは闇でこそ輝き
私の全てを
淡い白に変えて映し出す
遥かな面だけの場所から
一筋の線を
家路を示すように
迫り来る夜明けに
急げと言うように
譜奏28
身を潜めることしかできない
大雨の日
若き悩みの中にこもっていた私は
何を思ったか
アスファルトの道に向かって
走り出した
化繊のブラウスが一瞬の内に
蛭のように肌に吸いついて
髪は重く
視界を遮った
しかし私は凪いでいた
突如として雨のリズムに
同化している自分に
気がついていたから
譜奏27
女性の運命に現れる
天使と悪魔
または悪女
お馴染みのキャスト
この両極のアクターは
単純なキャラクターを飽きられて
いつからか両性具有のように
恋月の遺伝子に結びついた
行き止まりのない欲望には
艶の薄いメイクでは
持ちこたえられなかったのだろう
そして天使は悪魔を装い
悪魔は天使を装うという
満ち欠けの月を背にして
譜奏26