不幸にすぐ喰いつく荒い息が首筋をかすめて
過去のような映像を繰り返す夢から覚めた目を支配していたのは
鉛に金色を混ぜたような見慣れない風景だった
おそらく私はこの風景を現実には見ていない
この中にいたこともないだろう
ということはこの風景は私自身が秩序的に編んでいる
不可解というよりその強い動機を私は知りたいと思った
蒼白いだろうと思える背景の丘の上に女の子がいる
その子が黒髪を揺らしながら日なたで踊っている
美しいものだけを見ているように
苦しい感情はその後にやってくる
私はその子に何が起こるか知っているのだ
そう思った時から風景は鉛色に変わっていくのかもしれない
このままにはしておけないと今私ははっきりとそう思っている
譜奏187