2018年2月28日

不幸にすぐ喰いつく荒い息が首筋をかすめて

過去のような映像を繰り返す夢から覚めた目を支配していたのは

鉛に金色を混ぜたような見慣れない風景だった

おそらく私はこの風景を現実には見ていない

この中にいたこともないだろう

ということはこの風景は私自身が秩序的に編んでいる

不可解というよりその強い動機を私は知りたいと思った

蒼白いだろうと思える背景の丘の上に女の子がいる

その子が黒髪を揺らしながら日なたで踊っている

美しいものだけを見ているように

苦しい感情はその後にやってくる

私はその子に何が起こるか知っているのだ

そう思った時から風景は鉛色に変わっていくのかもしれない

このままにはしておけないと今私ははっきりとそう思っている

 

譜奏187

2018年2月26日

キレイな空

たくさんの屋根

いろんな色の服を着た子供たち

ありきたりな1日の午後が薄暮に移っていく様子を

私は窓のそばから離れずにずっと見ていた

この景色が永遠に続くことはないと思いながら

誰にともなく私は叶うならと前置きして

私は振り回されるのなら

例え行き止まりの永遠であってもと

宵が張られていく窓につぶやいた

時計が悲しそうに響いていたけれど

無防備な気持ちは装いのような影に見えていくから

決して希いでも憧憬でもないのにと

私は言葉の息を何もなかったように潰すしかなかった

 

譜奏186

2018年2月23日

誰かに見られたいことを書いた時

私は子供ながらに大らかな文字を選んで

さらにやさしく見えるように気を配って書いていた

いつそんなことを覚えたのか

今はそのノートの表紙に書いた

恥ずかしいとしか言えないタイトルしか思い出せないけれど

そんなことを思い出したのは

システム手帳に書かれていた狭い字間に気づいたからだ

私はきっと希っていたのだと思った

あの幼い日の私でさえ

はっきりと

あなたは何を思い何をしたいと思っているのですかと

天使に問うように

聞いて欲しかったのだと

 

譜奏185

2018年2月21日

枯れることを知らなかった花の根の横に

クレヨン画を埋めた

幼い衝動

私の目に映っていた二粒の星の移り火

動機を思い出せない

線を引いた記憶

そのありかのようなステンドグラスの

ランタンの陰

失くすことをただ恐れ

移り変わることを拒んだ

愛しさとも切なさとも

光りとも言えない重荷

あなたに示す友情は

忘却

 

譜奏184