2018年2月19日

何かの思いが宿っても

言葉にするのは

間違い

思いと言葉は

正反対のもの

正しいことをするのも

過ちを確認しているだけ

欲望の一つに過ぎない

比較して選んで過ぎる時間は

心を逃げられない虚ろに変えて

罪の味がする

知らぬふりして

黙っているのは

嘘と同じ

 

譜奏183

2018年2月16日

2コーラス目の変奏は何に媚びようとしたのだろうか

水槽の中の熱帯魚が雨の音を探すように顔を上げて

部屋に流れているヴィオラの三重奏に近づいてくる

ビスクドールの目も電池で保たれているように強い

泳いでいる命と命を模った愛玩具と

それを意識して夜を過ごしている肉体としての

私の命とその時間

この空間が祝福されているように感じた頃があった

全ての韻律が白の霧のように奏で合って

私は花回廊の色彩の中で玩具のように眠るのだと

しかし退屈なカデンツァから離れるように

いつしかそんな夜から私だけがいなくなっていた

もう若くないエンゼルフィッシュが色線を薄くして

媚びもなく弱い息を苦しむように

 

譜奏182

2018年2月14日

赤と白が混ざると色彩は淡くなっていく

青と緑を混ぜるとどんどん重い色調になっていく

一つの個体が他と関わる時

そこに順当な新しい個性が生まれることは少ない

人が幸せに生きることを目的にして生きると

その時点からの偏りによって見失うものが出てくる

そしてそのように見える人たちを私は嫌っているようだ

捻れたように堕ちて

荒んだ態度を隠さなくなった人たちも私には不快感しかない

息を2度深くそして浅く落とした後に

私は匂い月の青に絡む白い刺青飾りを見上げ

予め決められた旋法のコードに埋もれて

叶うならその単音にと希う自分を感じていた

ただ灰のようにあればと

 

譜奏181

2018年2月12日

どんな罰も足らない

心の望みを突き止められず

望まないままに拒めず

無為の流れに時を奪われて

胸の海に沈む星を見上げて

整えた夢を口走った私の

背信

人は何故人生という堆積を重んじるのだろう

それが生命を組成するロジックなのか

静かな鈍痛が教えるように私の中で鼓動する

意味という化身が堆積を組成しているのなら

そうであるのなら私の背信は

罰を認識する以前に

どんな罪も足らないということになる

 

譜奏180