2018年6月29日

人生が旅の始まりという言い方はあまり好きゃないけれど

そうじゃないとは言えない実感に勝てないのも事実

旅は元にいた家があるはずだから

人生の始まりの前にいた場所は何処なのか疑問が残る

産まれ落ちた所をその場所と思える人は幸福なのかもしれない

その旅に携える物を1つ選びなさいと言われたら

少し考えても人はやはり夢と言うのだろうきっと最後には

何故って他にあまりライバルがいないのではと思うから

何でも良いというニュアンスの問いなのに

この問いは誘導的でズルい投げかけのような気がする

そして得てして困難と思えることに夢は巣食うもの

要するにこの問い人はこう言っている

生まれてきた以上あなたは困難な夢を持って旅立ちなさいと

そうであるならせめて帰る場所は教えて欲しいです神さま様

 

譜奏239

2018年6月27日

キレイに生きてきた訳じゃない自分だけが知る自分が

まだ奥の私を問い詰めようとする夜

いつまでもこんな風にしてしまう自分が

もう正しいことに思えないと思える自分がいた

答が出ないまま問い続けることに

私は飽きて疲弊していたのかも知れない

キレイに生きるという信仰のようなものを

私はいつ何から得て持ち始めたのだろうと思った

しかし私は考える間もなくその考えに魅了されていた

気質に合っていたのだろうと思うしかない

人間は過去を清算ばかりして生きている

その度にもう必要ないとしまったリセットボタンを探すように

私は迷路に迷い込んでいた自分が愛しいもののようにも思えて

新しい真っ白なノートのページを開いてみたくなっていた

 

譜奏238

2018年6月25日

自分に似た人を人は何故か避けて生きてる

それって自分が嫌いってことではないですか

でも自分が大好きと言う人も

似た人間はきっと苦手に違いないし

結局のところ同じようなモノは見たくないということだよね!

お母さんの名前は?と聞いたら

彼女はそうねシングルマザーと言って

わたし、舞台女優になって30歳で死ぬんだと言って

右手にこっそり私の小銭入れを隠して

楽しそうに立ち上がって都会に消えていった

コンビニのレシートの裏にごめんなさいと

今日の別れのような

永遠の別れのようなひらがなが6つ

困り顔の子供のように並んでいた

 

譜奏237

2018年6月22日

太陽光を浴びた古いガラスの窓から

だんだんと紫になっていく光が射し込んでいる

その陰のような白漆喰の壁に飾られた大きな絵の中で

小さな子に聖書を教えて

一緒に讃美歌を歌っている教会の柔らかな日曜日が

遠くに揺れる水絵のように描かれていた

この光景から憎しみに囚われる将来は描きにくい

しかし人は時に毒で死ぬのを待てないほどの

哀しい感情に侵されていく自分に出会うことがある

人の持つ何がそうさせるのだろうかと私は恐れて

紫の光だけではない紫そのものを好むようになった

それから排他的になる自分が加速していった気がしている

今が初めてじゃなく自分が止めない限り

これが最後でもないことを怖れながら

 

譜奏236