ショーウィンドゥを横切る自分の姿が
何かから離れていくようで
何に近づいていく訳でもなく
雑踏のように通り過ぎていく
昼下がり
私は時の刻むリズムに
置き去られ積まれていく
その堆積に
いつまでも馴染めない自分に
吐息を抑える
そして気がつくのだ
鼓動なくしてこのリズムに
オフビートを打ち込むことなど
出来ないのだと
譜奏17
ショーウィンドゥを横切る自分の姿が
何かから離れていくようで
何に近づいていく訳でもなく
雑踏のように通り過ぎていく
昼下がり
私は時の刻むリズムに
置き去られ積まれていく
その堆積に
いつまでも馴染めない自分に
吐息を抑える
そして気がつくのだ
鼓動なくしてこのリズムに
オフビートを打ち込むことなど
出来ないのだと
譜奏17
砂の上に線を書いて
今いる自分を確かめた衝動の
線は
風が吹くと消えていくことを
笑いながら知っている
幼い物の理
しかし幼さは記憶に留まり
自存の足掻きで
自分さえ傷つけてくる
それが迷路の正体だ
その理を遊ぶ予知夢は控えめに
夢の中でだけ解決する
現実を脅かして怯える人を
影絵の舞台のように見て
譜奏16
聖水の中の天使と悪魔が
戯ければ
奇跡も無残も
無動無音の
滑稽な
囲われの地の
パントマイム
形を得られた人間の
私の
記すべき抗いの熱は
いつの日か
声の韻律に種を落とし
導かれていたのだろうか
その軌道を歪めるように
譜奏15
あなたは誰なの?
家で学校で社会で
教えられてきたことを
ちゃんと守って
苦しい時も淋しい時も
頑張った笑顔で生きてきて
精一杯のところで掴んだはずの
未来に生きるささやかな甲斐を
粉々にした後に
私の前に普通の日常を
平坦に淡々と
希望のように広げる無の衣
誘なわれるように私がそれを
纏うことも知っていたかのように
譜奏14