2017年1月30日

ショーウィンドゥを横切る自分の姿が

何かから離れていくようで

何に近づいていく訳でもなく

雑踏のように通り過ぎていく

昼下がり

私は時の刻むリズムに

置き去られ積まれていく

その堆積に

いつまでも馴染めない自分に

吐息を抑える

そして気がつくのだ

鼓動なくしてこのリズムに

オフビートを打ち込むことなど

出来ないのだと

 

譜奏17

2017年1月27日

砂の上に線を書いて

今いる自分を確かめた衝動の

線は

風が吹くと消えていくことを

笑いながら知っている

幼い物の理

しかし幼さは記憶に留まり

自存の足掻きで

自分さえ傷つけてくる

それが迷路の正体だ

その理を遊ぶ予知夢は控えめに

夢の中でだけ解決する

現実を脅かして怯える人を

影絵の舞台のように見て

 

譜奏16

2017年1月25日

聖水の中の天使と悪魔が

戯ければ

奇跡も無残も

無動無音の

滑稽な

囲われの地の

パントマイム

形を得られた人間の

私の

記すべき抗いの熱は

いつの日か

声の韻律に種を落とし

導かれていたのだろうか

その軌道を歪めるように

 

譜奏15

2017年1月23日

あなたは誰なの?

家で学校で社会で

教えられてきたことを

ちゃんと守って

苦しい時も淋しい時も

頑張った笑顔で生きてきて

精一杯のところで掴んだはずの

未来に生きるささやかな甲斐を

粉々にした後に

私の前に普通の日常を

平坦に淡々と

希望のように広げる無の衣

誘なわれるように私がそれを

纏うことも知っていたかのように

 

譜奏14