月の白に醒めない碧い夢
これが最後のように濁るから
一人膝に顔をのせて遠く
夜が枯れていく音を聴いていたの
過ぎていかない悲しみの静かに
奪われていくように
愛の陽炎のように飾られた花は
どうしてその彩りを失くしてまで
さびしそうに咲き乱れているの
何も映さない夜に
わたしを忘れて抱きしめて
消えていく虹でいいの
湖に煌めいて揺らいだ熱を
愛した女優のように
譜奏500
月の白に醒めない碧い夢
これが最後のように濁るから
一人膝に顔をのせて遠く
夜が枯れていく音を聴いていたの
過ぎていかない悲しみの静かに
奪われていくように
愛の陽炎のように飾られた花は
どうしてその彩りを失くしてまで
さびしそうに咲き乱れているの
何も映さない夜に
わたしを忘れて抱きしめて
消えていく虹でいいの
湖に煌めいて揺らいだ熱を
愛した女優のように
譜奏500
長い旅の結末はまだわからない
わたしの足がまだ歩くことができるのなら
いつか聴いたあの潮騒の海を
もう一度あの日のように眺めてみたい
わたしの声がまだ歌になるのなら
あの日のように歌っているだろうから
風も地もすべてが愛と知る日まで
どれほどの時が過ぎ去っていったのだろう
そして叶うなら
もしも
わたしの命が
自由に舞うべき蝶だったら
蒼さえ消えて見えない
光ある空へと
譜奏499
人間生きていて絶望感を味わうことは誰しもが避けたい第一位でしょう
しかし希望という光を見る限りそれは無理な道理というものなのですよ
しかし問題はそこからなんです絶望君主の空恐ろしいところは
初めは心底憎みますよねその陥ってしまった絶望感そのものを
しかし人はだんだんと何故だか慣れていってしまうものなんです
そしてあろう事かやがてはその絶望に頼るようになっていくのです
勿論本人に自覚はなく希望という存在を忘れないための作用なんですが
信じられますか?この事実そしてはっと気づきませんか皆さん
分からないですか?ダメですねそんな調子じゃ救いようもないですね
実はですね希望と絶望ってまごう事なき共犯者ってヤツなんですよ
何せ私がお話ししているのですから間違いなどありません
だから断じて同化してはいけませんよとだけ教えてあげておきましょう
そこまで言い切るあなたはいったい誰なんだと聞きたいのでしょうが
いえいえ何を聞くのですかそれだけは断じて明かす訳には参りませんよ
譜奏498
気になって忘れられないで苦しむ人には忘れる力を
忘れてはいけないことを忘れてしまう人には忘れない力を
日々が自分を否定してくると感じる人には感じない力を
全てのことをただ肯定してしまう人には陰を見る力を
考えることに頼るだけの人には考えない力を
気分次第で動いてしまう考えない人には痛みを与えて考える力を
バランス良く強くなるために。
人の心の痛みに同化しやすい人には適度な不感の力を
人の痛みに無関心でいられる人には適度に作用する不運の力を
自信なく気遅れがちな人には並んでいける程度の鈍感なる力を
自身を過剰に顕示する人には恥によって打たれる作用の力を
愛を懸命にただひたすらに求めて生きる人には私欲を問う力を
愛を信じず享楽だけを追って生きる人には孤独を問う力を
バランス良く弱くなるために。
譜奏497