恋に落ちたらシンデレラは終了
愛に近寄っていったら
その前に愛が必要
必要な愛には必然の証しが必要
証しには愛にしか含まれぬ毒が必要
言葉がたくさん
時間がたくさん
平安は怠惰に頼る
未来を希んだら恋は終了
希む未来に潔癖な契約は不要
その前に過度なる約束が不要
限りある時を愛を飾って訴えて
一度でも天に祈ったら
そのままに振り出しに戻って終了
譜奏213
恋に落ちたらシンデレラは終了
愛に近寄っていったら
その前に愛が必要
必要な愛には必然の証しが必要
証しには愛にしか含まれぬ毒が必要
言葉がたくさん
時間がたくさん
平安は怠惰に頼る
未来を希んだら恋は終了
希む未来に潔癖な契約は不要
その前に過度なる約束が不要
限りある時を愛を飾って訴えて
一度でも天に祈ったら
そのままに振り出しに戻って終了
譜奏213
50音の頭文字を色に置き換えて文を書いたら
赤から始まってしまうことに気がついて
言葉は色より格下なのだと一人
気がついてしまったような気がして
私はなんでもない時間を何をすることもなく
ただぼんやりとしている私に付き合っていた
タトゥーを消した痕のような宵が過ぎていく
天井扇風機が鉛の花に見える大好きだったコラージュを
どうして忘れていたのだろうと思って思い出して
人間が1000分の1秒にまで留まるには
私そのものがジフィーに身を投げるしかないと思い
それならそれで良いと思った
色彩は天の配備と認めて言葉は人の作り物
問題は私じゃないと思った
譜奏212
波の刃が沈めた船がゆっくりと
踊るように海底に向かっていく映像を
私は繰り返し夢の中で見ていた
これは夢だと知りながら
叫んだ声が雪のような水泡に変わっていく景色を
美しいとさえ思いながら
ドアが開いて
誰かが入ってくる気配がして私は目を覚ました
犯人は風の軋みの残響が私の耳にぶつかって
私自身の意識が圧縮した中音の抵抗音だった
私は現実の中で生きていない
今日もまた私はそう思って
夢だと分かっていた雪の華を惜しむように
ペットボトルの水を半分飲み干した
譜奏211
眠る前に本を開いた時
スタンドの灯りがその時を待っていたように切れた
もう何度も読んだ本の文字を殺してあげると言うように
タイトルの文字が微灯に輪郭を作っている
愁いと癒着して離れない遠い過去を
卵のように淋しげに抱いている鳥の顔のようだ
銀の小さな鍵が見つからない
私は思い出したようにふとそう思っていた
その鍵は約束を交わした私以外の人が持つと
鍵穴で銀が溶けてしまうように作られている
約束をした誰かがそう私に言っていた
だから失くさないようにとそう話していた気がする
私の親指と薬指を癒着させるように付けさせて
確かにそう言っていた気がする
譜奏210