2017年2月17日

不老不死の命が得られるなら

世界の名だたる人は

いえ普通の人も

その条件に

血道を上げるだろう

逆に早期の死も

流行るかも知れない

過ぎし日の訃報の痛みが

リフレインする雨の

終わらない日

私の空っぽの胸は

忙しく走る雨の粒のリズムに

合わせるように泣きじゃくる私を

ただみつめていた

 

譜奏25

2017年2月15日

水の死ぬ

終いの瞬きに現われる

青に奪われた

一重の彩りは

流れを終え

定着を捨て

消える

消す

誇張もなく

ただ

その青そのものに

従順する

凍てる死にも熱があることを

知るかのように

 

譜奏24

2017年2月13日

初舞台

私の着ない

悲しいドレス

ぐるぐると

花飾りの壁を

貴婦人のように

演舞して

緩やかに

指板を弾くソネットを

弱まっていく音を

怖れながら

顎を上げ背を伸ばし

光の雪に包まれる刻を

私は夢観ていたの

 

譜奏23

2017年2月10日

突っ伏して

魂が破壊されたノイズが

数日の

数季の悪夢を見せて

時間の無い日々を私に与えた

呪うべき

色彩のない記憶

忘れることだけに

ほとんどのエネルギーを費やして

吐き捨てる言葉さえ尽きたと思った

しかし生は強靭だ

私の新たな有機なる魂はその廃墟に

光のように

散りばめられていたのだから

 

譜奏22