2019年1月7日

不満を抱え込むのが習慣になっているような生き方をして

悲しみを抱く人の心は暗い水面に滑り

揺らぐ微光のように無邪気に惑わされていく

崇高な哲学者を気取る運命は運命を与えるだけでは満足せず

結末を覗き込んで小心者の本質が暴かれる

私の不可解な衝動の一瞬に西風が止まって

一瞥して関心を持たずに消えた後

すぐに淋しさの断片を寄せ集めたような夢に落ちて

私は思い出しそうだった置き去りにした何かの記憶が

無数の海に呑み込まれて離れていく距離を感じていた

人の人生は

始まり方はいつも違うのに

しなやかに微光の群れが揺れるように

人の終わり方はいつも同じようになっていく

 

譜奏321

2019年1月4日

星のカケラを3つ拾って地面に三角に置くと

その三角に青緑の水が現れてその水に指が触れると

深い湖に引き込まれて二度とお家には帰れないと

わたしとその子は信じていた

お腹がすくのとノドが渇くこと以外に

わたしたちは現実ということを知らずに

空想の世界の現実の中を走り回って遊んでいた

双子のように同じ顔をしているその子の妹は

5さいになっても話せなくてアーウーと唇を尖らせるから

わたしはアーウーちゃんと言って

わたしも口を尖らせて唇を合わせたりしていた

小学生の時に姉妹はダウン症だと聞かされて

すぐに疲れちゃう病気なんだ、と言ったら大笑いした母に

プクっと拗ねて唇を尖らせた日を懐かしく思い出す

 

譜奏320

2019年1月2日

生きるという日々の作業に意味を見いだしたいと

思わない人は少ないだろう

私の夢化身が柔らかな空気の濃淡を操るようにして

心の深部に未来を思わせる一瞬の形を残していくのも

きっと自分というあなたを生きるためには

課せられている条件があるということを

明示してきている一つの試みなのだろうと思っている

だから私は覚悟して生きる

単語にするとつまらない響きになってしまう言葉だけれど

必要とされている条件はきっと唯一この一点でしかないと思う

自分が自分でいたいというただそれだけのことを

人は高価なもののように感じてはいけないと思う

鏡に映る自分が全く違う人間に見えてしまうほど

哀れで怖ろしいことはないのだから

 

譜奏319

2018年12月31日

12

色々な価値観を持って歴史も文化も様々なのに

思えば世界は仲良くこの数字に支配されて時を刻んでいる

酷い争いも時に不謹慎にも兄弟喧嘩のように錯覚してしまうのも

この数字が持つ支配の魔力なのかも知れないと思ったりする

人類は神に愛されているのだろうか

或いは神は人類が生み出した制御機能の象徴なのだろうか

それを断定出来る賢者は未だ現れず

声高に叫ぶ者は異端者として時代に埋もれていく運命にある

私は希う

全ての人々に平安あれと

ただ希う

無力であればこその切なる祈りとして

満天の聖星に畏怖と敬意の中で額ずくほどに

 

譜奏318