2018年1月26日

人生は楽しまないとという言い方が

私は嫌い

幸せになろうねというフレーズは

もっと嫌い

浅ましいというか単細胞というかそんな風にしか感じない

一定の人生の益を受けるのは当然で

その上自分好みの嗜好品を人生に加えていく

それは全く悪い考えではない

だってそうでしょと言われたら言い返せない

でも嫌い大嫌い

忘れていることが多過ぎる

人が尊大になっている

危ういほどに

私の私見に過ぎないけれど

 

譜奏173

2018年1月24日

誤魔化そうとした表情が心の答えを表して

胸の背に淋しさをかすめる時

私は正直に生きた父と母を誇りに思う想いが

自分の心の底に落ちていこうとしている淋しさを

ただみつめているだけの自分を恥じていた

その底の記憶に流れるオルゴールのような音

いつからか聴こえなくなっていた魔法の音色

得体の知れない時の何かがそれを奪い合っていったのだろうか

私が選んだ人生

しかし私がすべてを選んだ訳じゃない

決められた地に引かれるように行くのなら

そしてやがて虹を見上げることになるのならもう少し

もっと淡い色がよかったと

私は小さな心の隅でそう思っていた

 

譜奏172

2018年1月22日

遊び道具にもならなくなった愛ほど

過食して

飾っていた自分の虚ろから逃れられないものになる

鍵穴からその愛を覗いていた私の卑屈の

マリオネットの眼

女は悲しみを遊ぶことを覚えて

夢中になっていく自分を過食するようになっていく

変え難いものにこそ

自ら受容していく純粋が必要なように

意味があるはずの絶望は気づいてしまった時に

消えていく約束で繋がれている事実だけを明かす

親切に

その紐に愛で紡がれた糸は使われていないと

教えてくれるように

 

譜奏171

2018年1月19日

遠くから聞こえる犬の鳴き声がカラスの声に聞こえて

眠りに落ちていく感覚もなく私は眠り

兆さないまま朝でもない時に私は目を覚ました

紅を引いて着飾ろうとした外に暗がりが広がる

焔の光の波長が短くなって消えていく素振りを見せながら

私の体内の乱数は組み立てられて

形を得た青に向かっていこうとしていく

危ういだけの衝動と自覚

しかし私はこのアンバランスな対を好み

いつも心のどこかで喝采を送ってしまうのだ

年老いて流浪に出ようとする旅芸人のように

虚脱した私はまた感覚もなく落ちていく

そんな私を見届けたように乱数の針は動きを止めていた

カラスの鳴き声ももう聞こえてこなかった

 

譜奏170