2018年1月19日

遠くから聞こえる犬の鳴き声がカラスの声に聞こえて

眠りに落ちていく感覚もなく私は眠り

兆さないまま朝でもない時に私は目を覚ました

紅を引いて着飾ろうとした外に暗がりが広がる

焔の光の波長が短くなって消えていく素振りを見せながら

私の体内の乱数は組み立てられて

形を得た青に向かっていこうとしていく

危ういだけの衝動と自覚

しかし私はこのアンバランスな対を好み

いつも心のどこかで喝采を送ってしまうのだ

年老いて流浪に出ようとする旅芸人のように

虚脱した私はまた感覚もなく落ちていく

そんな私を見届けたように乱数の針は動きを止めていた

カラスの鳴き声ももう聞こえてこなかった

 

譜奏170