2018年1月17日

なんとなく空の何かを見上げるように

いつのまにか育った手の届かない胸の願望をみつめると

自分がいかにその願望に甘くて弱いかが分かる

それが十字架のように私を摑まえた憧憬の始まりだ

願望は色彩化した猜疑心で贋作を見抜くように

憧憬の正誤を精密なプロセスで見破ろうとする

光による損傷

異物の付着

顔料の退色

作業を確かめながら怠らない更なる猜疑

そして最後の確認の後に厳重に確かめるのだ

それが決して届かないところにあるというその一点だけを

無為に安心したように

十字架を握ったその手を投げ出して

 

譜奏169