雨宿りに入った喫茶店で流れてきたリストを聴いて
私は少し意地悪な気持ちになった
今まで全然気にも留めずにいたことだけれど
当時の音楽家たちは他の音楽家と似ることを極端に嫌って
避けるように作品作りをしている
昔の私はそれを自然な個性だと思っていたけれど
どうやら違うようだ
ただせめぎ合っていたのだろうと思う
個であることを主張しその個性を印象付けるために
私に何かを言える資格はないが何だかその精神が平凡に思えて
リストのプレリュードが耳触りになってきた
崇高なるものは崇高を演出しているに過ぎない
不安定な精神に振られている私の解釈は好きな曲にさえ
予測が難しくなっている
譜奏168