時という生物は
最小の原子のその固有振動数によって
今のこの一瞬を正確に刻んでいると解明されているらしい
しかしそう説明されても私には何の実感も湧かないけれど
むしろ無機質に思えるその川が引き起こす無限の生命の息吹きは
私には一種の魔景にしか映っていない
時が全てを癒してくれると言い聞かされて
それを鵜呑みにしてきた根拠は誰もが探せていないだろうと思う
影さえ持たない幻なのだからと
今は私はそう考えるしかない
だから探りを入れるフィクションと悟られても
気分が悪くなるほどの劇的な不幸のプロットを立てて
綿密に計画した完全なプランを悪魔と売買しても
私はある種の幻覚を手に入れたいと思うようになってしまっている
譜奏417