2019年8月12日

セーニョを弾き忘れた点字楽譜が

コード上に置き去りにされているのを

月明かりが露わにかすめる夜

滅びることで保てる美しさなどあるはずがないのだと

私は盲目のままに歩くようにただ怖れていた

そして悪態をついて私は自分の弱さを防御してきている

きっとそのせいだろう

放出されない感思がいつまでも胸の真円に添えず

不形成な蝶紋のように偏ったまま動かなくなっていた

私は改めて今の現実を受け入れることに躊躇して

いつかこの紋が表皮に表れて

私の主体の終わりを飾ればいいと妄想していた

翔びたってしまえば私は美しいのだからと

それがたとえ誰しもが目を背ける魔物のような死であってもと

 

譜奏414