セーニョを弾き忘れた点字楽譜が
コード上に置き去りにされているのを
月明かりが露わにかすめる夜
滅びることで保てる美しさなどあるはずがないのだと
私は盲目のままに歩くようにただ怖れていた
そして悪態をついて私は自分の弱さを防御してきている
きっとそのせいだろう
放出されない感思がいつまでも胸の真円に添えず
不形成な蝶紋のように偏ったまま動かなくなっていた
私は改めて今の現実を受け入れることに躊躇して
いつかこの紋が表皮に表れて
私の主体の終わりを飾ればいいと妄想していた
翔びたってしまえば私は美しいのだからと
それがたとえ誰しもが目を背ける魔物のような死であってもと
譜奏414