―――――後にしたの 夢のない家を
―――――追いかけたの 都会のドレス――『ひとりのソナチネ』より
今を怠れば
怠りはすぐに
過去の陰になって
未来が
報復にやってくる
親からも
先生からも
そう教えられて
私は
胸の小部屋に逃げ込んで
膝を抱える少女になっていた
その静寂の手がやがて
夢へと伸びることなど
知ることもなく
譜奏35
―――――後にしたの 夢のない家を
―――――追いかけたの 都会のドレス――『ひとりのソナチネ』より
今を怠れば
怠りはすぐに
過去の陰になって
未来が
報復にやってくる
親からも
先生からも
そう教えられて
私は
胸の小部屋に逃げ込んで
膝を抱える少女になっていた
その静寂の手がやがて
夢へと伸びることなど
知ることもなく
譜奏35
―――――あなたに会いたい
―――――みすぼらしい姿でも――――――――――『虚空』より
消えただけの火の痕を
砂の火で灼いて
見上げる月に
問う雫
私の行き着く最後の地は
私を待たないのかと
空よ
示せよ
南か西か
取るに足らない私の
抱きしめし背を
命の引き換えに得た
永遠を
今日一日に変えても
譜奏34
カフェラテを手に
何故か誰しもが忌み嫌い
誰しもが痣のように憑かれる
憎しみという
遺伝子生物の容姿を
思い浮かべて
目線で視界に描がいていた
透明な物だけでは成り立たない
濁る物だけでは成り立たない
人の
時の
魔物
その魔物への選択なのだと思った
憎しみという息は
譜奏33
―――――いけにえのように悲しみを知るの
―――――眠る赤のように――――――――――『雨のロザリオ』より
美しい何かが単立していたら
人は息を飲み
みつめ
その気高さにやがて
凶暴さを覚える
朽ちることを赦さず
壊すことでその気高さを
刻むように
置き去るように
涙は何の生贄なのか
さえ顧みることなく
私に問いかけることもなく
最後に表わす
終いの色のように
譜奏32