ひとりのソナチネ

―――――後にしたの 夢のない家を
―――――追いかけたの 都会のドレス

――『ひとりのソナチネ』より

 

今を怠れば

怠りはすぐに

過去の陰になって

未来が

報復にやってくる

親からも

先生からも

そう教えられて

私は

胸の小部屋に逃げ込んで

膝を抱える少女になっていた

その静寂の手がやがて

夢へと伸びることなど

知ることもなく

 

譜奏35