2018年2月14日

赤と白が混ざると色彩は淡くなっていく

青と緑を混ぜるとどんどん重い色調になっていく

一つの個体が他と関わる時

そこに順当な新しい個性が生まれることは少ない

人が幸せに生きることを目的にして生きると

その時点からの偏りによって見失うものが出てくる

そしてそのように見える人たちを私は嫌っているようだ

捻れたように堕ちて

荒んだ態度を隠さなくなった人たちも私には不快感しかない

息を2度深くそして浅く落とした後に

私は匂い月の青に絡む白い刺青飾りを見上げ

予め決められた旋法のコードに埋もれて

叶うならその単音にと希う自分を感じていた

ただ灰のようにあればと

 

譜奏181

2018年2月12日

どんな罰も足らない

心の望みを突き止められず

望まないままに拒めず

無為の流れに時を奪われて

胸の海に沈む星を見上げて

整えた夢を口走った私の

背信

人は何故人生という堆積を重んじるのだろう

それが生命を組成するロジックなのか

静かな鈍痛が教えるように私の中で鼓動する

意味という化身が堆積を組成しているのなら

そうであるのなら私の背信は

罰を認識する以前に

どんな罪も足らないということになる

 

譜奏180

2018年2月9日

◯を×と△を□と言うような

明らかな嘘はついてこなかったような気がする

そんな明らかさには自分が剥がれていく軋みを感じていたからだ

そして私の周囲は誠実さに溢れていて

そんな嘘をつく必要も機会も

なかった気がしている

固形物のような真実という言葉とその背景に

まだ価値があると思っていた頃

私は人には真っ直ぐな一直線の道が

それぞれに与えられていると信じられていた

しかし冷静に思い返してみるとその正直な手応えは△に満たない

△が私の□に2つも3つも共棲していたという実感の方が

今寂しい玩具のようにしっくりと

胸に落ちているのを感じている

 

譜奏179

2018年2月7日

雨にうたれた植物の油分が空中に放たれて

森の中のように芳香していた夜

私は裸足のままベランダに出て

何かの過ちを正すように

建物に遮られた行きどまりの月を見ていた

緩んで活気を失った血を排泄していくように

青く澄みきった冷気が私の身体に入れ替わっていく

その尖った音のような感覚が

私の舌の根のあたりに痛みを与える時

私は安堵して

獣のような深い気を吐き出して

しゃがんだ手で膝を抱えてまた夜を見上げる

ペトリコールに包まれて永遠に

その水面に映る姿をレイアウトするように

 

譜奏178