―――――わたしが重ねた罪のように
―――――『悲しいアンブレラ』より
私は私の死で
いずれ
私の周りに
私だけの円を描がく
切られたピアノ線が
丸く遊ぶように
そして
時が過ぎて
その円が
砂になったら
暗闇の夜に
空に投げて下さい
一瞬の満天の
星々のようにでも
譜奏37
―――――わたしが重ねた罪のように
―――――『悲しいアンブレラ』より
私は私の死で
いずれ
私の周りに
私だけの円を描がく
切られたピアノ線が
丸く遊ぶように
そして
時が過ぎて
その円が
砂になったら
暗闇の夜に
空に投げて下さい
一瞬の満天の
星々のようにでも
譜奏37
―――――名も亡き花にこそ似し
―― ――『紅筆』より
抱いていた人形は
息をしないまま私を
みつめていた
気づいた私を
咎めるかのように
愛
私だけの永遠の
愛
夜のように
花のように
ゆるやかに
狂うように
怯えていた
紅に
譜奏36
―――――後にしたの 夢のない家を
―――――追いかけたの 都会のドレス――『ひとりのソナチネ』より
今を怠れば
怠りはすぐに
過去の陰になって
未来が
報復にやってくる
親からも
先生からも
そう教えられて
私は
胸の小部屋に逃げ込んで
膝を抱える少女になっていた
その静寂の手がやがて
夢へと伸びることなど
知ることもなく
譜奏35
―――――あなたに会いたい
―――――みすぼらしい姿でも――――――――――『虚空』より
消えただけの火の痕を
砂の火で灼いて
見上げる月に
問う雫
私の行き着く最後の地は
私を待たないのかと
空よ
示せよ
南か西か
取るに足らない私の
抱きしめし背を
命の引き換えに得た
永遠を
今日一日に変えても
譜奏34