人は一生を
何かを選んで生きるのに
ただ一つ
欲望だけは選べない
神の存在を認めてみよう
ならばあなたは何を試みて
人という命をデザインしたのかと
その問いは必然でしかない
欲望に論じる是非は解かれ
ただ思うがままに
ただ与えられたままに
むしろ一際美しい紋柄の
色鮮やかな肉食の蝶のように
舞えばいいのだと
譜奏41
人は一生を
何かを選んで生きるのに
ただ一つ
欲望だけは選べない
神の存在を認めてみよう
ならばあなたは何を試みて
人という命をデザインしたのかと
その問いは必然でしかない
欲望に論じる是非は解かれ
ただ思うがままに
ただ与えられたままに
むしろ一際美しい紋柄の
色鮮やかな肉食の蝶のように
舞えばいいのだと
譜奏41
―――――いつかきっとこんな不器用なわたしにも
―――――運命という訪ね人がくるのかしら― ――『愛流浪(ブルース)な女たちへ』より
人の鼓動が生む電流は
脳の100倍
迷いも不安も切なさも
感じることはすべて
重く鈍い鼓動音になる
私はいつ
何かを見失ったのだろう
考えても考えても分からないのに
鼓動は容赦なく
私の夜を打ち付ける
このままでいいはずない
私は胸の熱を火にして
燃えさかる鼓動を
生きていくのだから
譜奏40
道から外れる生き方を
怖れてはいけない
賢人のように示された道は
何処から始まり何処で終わるのか
誰も知らされてはいないのだから
そもそも道って何?
道って自分が自分の足で
歩いてきた足跡と
これから歩いて行く足跡の幻を
枠にしただけの場所に過ぎない
従うなど愚かだ
その示しの鏡に映る自分は
逆トリックに囚われて惑う
餌食でしかない私なのだから
譜奏39
―――――あなたの笑い声が
―――――すべてをやさしくして
―――――気がついたら ひとりで泣いていたの―――― ――――――『昼顔』より
何かの哀しみの後
這うようにして
誰かの森の中に逃げ込もうと
裸足で走った
私には自分の力では戦えないと
わかっていたから
躓いた足を捨て
陽翳りに過去を置いて
時間を殺した夜顔のように
しかし
時は死ななかった
たった一つの笑みが不意に
私の全てを射光して
証しの矢を放っていた
譜奏38