昼顔

―――――あなたの笑い声が
―――――すべてをやさしくして

―――――気がついたら ひとりで泣いていたの

――――     ――――――『昼顔』より

 

何かの哀しみの後

這うようにして

誰かの森の中に逃げ込もうと

裸足で走った

私には自分の力では戦えないと

わかっていたから

躓いた足を捨て

陽翳りに過去を置いて

時間を殺した夜顔のように

しかし

時は死ななかった

たった一つの笑みが不意に

私の全てを射光して

証しの矢を放っていた

 

譜奏38