カラスが死んでいた公園道を
青のジョギングウェアが過ぎていった後
大粒の雨が降り出して
ホームレスのような老人が現れて
素手でカラスを埋め出した
子供が恐がるからだと一人言を言っていたが
どこかからやってきたお巡りさんに手を引かれて
老人はどこかに連れていかれてしまった
老人の手がひどく土で汚れていたのが見えた
隣の席にいた2人連れの女性のどちらかが
かわいそうにね、と言ってマグカップを持ち上げて
もう1人が場を和ませるように笑っていた
ミントティーの香りがしていた
寂しいパントマイムのような午後だった
譜奏297