2018年11月7日

人生が細長い紙に印字されて

いつでもプリント出来るようなものであったら

その紙に印字された出来事の全てを

愛しく思う私でいたいと思いながら

ハサミで切り落としたいいくつかの思い出が

そんな気持ちを一瞬にして壊してしまう夜

忘れるという塗り潰す作業がやはり人には必要なのかと

私は弱い自分を睨むようにして

何かの後催眠のように

見つけた開けられていない古い手紙を破って

どうせならと思いハサミで小さく刻んで

紙吹雪のようになるように強く

私を棄てるように強く

部屋の天井に向かって腕を振り投げた

 

譜奏295