人生が細長い紙に印字されて
いつでもプリント出来るようなものであったら
その紙に印字された出来事の全てを
愛しく思う私でいたいと思いながら
ハサミで切り落としたいいくつかの思い出が
そんな気持ちを一瞬にして壊してしまう夜
忘れるという塗り潰す作業がやはり人には必要なのかと
私は弱い自分を睨むようにして
何かの後催眠のように
見つけた開けられていない古い手紙を破って
どうせならと思いハサミで小さく刻んで
紙吹雪のようになるように強く
私を棄てるように強く
部屋の天井に向かって腕を振り投げた
譜奏295