人として一番残酷なこと
それは長い時間を欺いて精神を開かないままに
その時間を共依存として費やしてしまうことだろう
私の中では一番の重罪と感じている
しかし
生きていく心というのは一理に収まらず複雑なものだ
人間の思考など一形の偏愛に過ぎないと思えてしまえば
決して踏み外してはいけないと決めていた一線があっても
私が私の衝動熱に焼かれてしまうだけで
それはむしろはっきりとした願望に変わることもあり
やがては私の熱量の河の流れに呑み込まれてしまうだろう
そして残酷であるがゆえの価値ということも否定できなくなる
私が忌み嫌い最も虚しいと思ってきたことを
あなたも同じようなことができるくせにと囁く私がいるのだ
譜奏296