2018年3月23日

美しくても

切り花の命は短いと

誰かの嫉みを読むような

青に似せた媚びに光る銀の鎖

その中央の月長石は

無機の体で予知を売るという

喜びの感情の扱いに問題のある私は

私自身との対立を避けるために

知らず知らずのうちにその青の光に似た心を飼っていた

仕方がなかった

必要なのは言葉の血漿以上の行いであることは

知っていたのだから

私の傍にいれば何が起きても安全とやさしいだけの

耳鳴りのような声が聞こえていた気がしていたのだから

 

譜奏197

2018年3月21日

聖書に手を置いて

平気で嘘をつく人の胸に

悪意が無かったら

罪は神通力を失い

対比する言語さえ見当たらない

人を捕らえている境界線のような区切りは

何の基準によるものなのだろうか

この社会そのもの

それとも個体としての痛みの記憶から生まれた

防御

きっとどちらも違うのだろうと思いながら

私はある事を決心しようとしていた

夢で焼いた讃美歌の炎が苦しそうな声になって

揺れながら消えていくのを待つように

 

譜奏196

2018年3月19日

感情の5つの階段を上ろうとすると

最初に拒否という札が掛かっているという

危うい人もいるからと受け入れて

ふと考えて左足から上っていく

私は右利きだからだ

両足の膝が立つ位置に2つ目の札が見えてくる

怒り

コレは概ね予想がついていた

また気が進まないままに膝を立てると次は取引と書かれてある

意外な感じがしたので急いで四段目に行くと

抑鬱の札

私は動物的に激しく笑った

こんな事をさもロジック風味に仕立てている人間が

ただのおバカにしか思えなかったから

 

譜奏195

2018年3月16日

眠れぬ夜を過ぎて

その理由に行き着けないまま

雨だから開ける必要もないカーテンの無地をみつめて

私はその無地に同調していく私の精神を

引き止める単語を呪文のように探す私に衰弱していた

そして溢れるように動いて

自分の変化を喜んで引っ越しした時に買った2対の

今は時の曇りが痣のようになっていたグラスを

投げ割った

主の顔も声も浮かばない黒白の名刺を

何かのモニターを覗くように

そこに写っているはずの確かに居たウェーブの

髪を揺らしていたはずの私を

探しているかのように

 

譜奏194