2019年3月4日

心だけ届かないの

夜は暗いだけでしょ

驚いた鏡の色

割れて泣いた波のよう

過ぎてゆくものは

移ろふと

知っているから

明日の朝海を見るの

風に奪われるように

いつか

私の罪にしなやかに

流れるのなら

最後の言葉は

je l’ aimeとだけ言って

 

譜奏345

2019年3月1日

自分についた嘘は

ごまかせないけれど

何か話そうとして結んだ唇

壊れたように動かない

いつか罰を受けて

やさしくなったら

悲しさを抱いてみつめていた

日曜日の夜の花

きっと

胸に残るはず

それさえも

運命と感じて

いつかこの時を想うように

蒼夜曲を聴くように

 

譜奏344

2019年2月27日

忘れた罪が

吐息で雨になれば

昨日までの時間に小さく

さよならと言って

声から指先

抜けていく鼓動に

飾られて行き場なく

愛に溺れていたの

悪女を気取って

その赤に閉じ込めても

爪から肩先

悲しみに震えて

さびしくて折れていた

わたしだけのルージュ

 

譜奏343

2019年2月25日

知らない街の道で

座り込んでいた人

きっと

悲しい目の私に似てた

通り過ぎていったけど

水に溶けて流れるような

かけがえのない今を

胸のどこかでわかっていても

何もできないけど

空から降る雨にもいろんな色があるね

一人迷い目で手と手を合わせ

いつか人の心に残る種を

一息吹き出して私

風になりたい

 

譜奏342