2019年3月22日

傾いて沈む夕陽

戸惑う祈りをかざして

私はみつめる

ひとしずくの水を

乞うように

夢に汚れて

一人歩いた孤独な胸に

私を拒む

遥かに広がる時の海

あなたに会いたい

たとえ

みすぼらしい姿でも

たとえ傍らを

吹き過ぎる風のようにでも

 

譜奏353

2019年3月20日

春浅く風が過ぎたら

儚げに罪を手折り

美しいものだけを見て

生きていたかったの

紅をまっすぐ引いて

床に落として

唇が怖れていたの

悲しく

紅筆よ

もう一度

いえもう二度と

心さえ消えても

ほんとうの愛があるなら

名も亡き花にこそ似しと

 

譜奏352

2019年3月18日

じっと膝を抱えて

枯れていくことで命を教える

花を

夢を

みつめてた

さがし続けても

心だけに書ける文字は

みつからない

私が永眠ったら

空をつかんで

雨を凍らせて

月を曇らせてみせて

運命なんて

消してしまえばいいから

 

譜奏351

2019年3月15日

きっと知らないうちに

人を傷つけてきたと

胸が騒ぐ夜

どんなに強がって

心を閉ざしても

破れるように漏れた息が

悲しいノイズのよう

もっともっと

素直に生きていたら

自分の弱さにも

やさしくなれたはずなのに

わかっているのに

どうして汗のように

涙が落ちてくるの

 

譜奏350