投稿者: 川村南魅

何かのために

誰かのために

やさしい人の

ピアノのように

標べない道を行き

躓くことも

苦しむことも

明日への鼓動と

胸に還し

人の心の

水の譜に揺れ

両の手に

奏でる弦に

二人人と

 

譜奏３５７

どんな風に生きても

悔いは消えないけれど

苦しむ人の手を

自分の背と感じて

抱きしめる力を

私にください

愛と言えなくても

つかの間を生きるように

意思ない日々を費やしても

悲しむ人の涙を

自分の血と感じて

強く引く力を

私にください

死まで何も成さなくても

 

譜奏３５６

捨てられないから

抱きしめていた

吐息のような夢でも

星座よ

透明な光りを

いつか

私の虹彩に

自分につぶやく言葉が

嘘と解って

明日を祈れなくても

星座よ

蒼い水面に変えて

私の胸を

今を間違っていても

 

譜奏３５５

誇れるものが

何もなくても

生まれて生きている

それこそが

恵みの証

一つ一つの

かけがえのない命を

七つの糸で奏でるように

みつめている虹

誰の胸にもある小さな森には

色もあざやかに

花々が仰いで

明日を示すように

やさしく宙を見上げている

 

譜奏３５４