2019年3月20日

春浅く風が過ぎたら

儚げに罪を手折り

美しいものだけを見て

生きていたかったの

紅をまっすぐ引いて

床に落として

唇が怖れていたの

悲しく

紅筆よ

もう一度

いえもう二度と

心さえ消えても

ほんとうの愛があるなら

名も亡き花にこそ似しと

 

譜奏352