街の雑踏に身を委ねてどこかから聞こえてくる笑い声を背中で聞いて
私は約束の場所に繋がる川橋の上を歩きながら
この平穏で幸せそうな光景にはどうしてリアリティが持てないのだろうと
いつものように額から胸を行き来するノイズの音を聞き流していた
この川はあまり流れない
しかしそれが水辺に集まる鳥たちが休める穏やかさを保っている
やさしいということには意図がないということの教えなのだろうと思う
人はただ自分をみつけて自分を生きれば良いのだ
派手な舞台化粧であからさまに戯けてその場限りを笑わせても
素顔を隠すピエロは誰のヒーローにもなれないのだから
橋を渡り切る時何かが乱反射したような気配がして振り返って
川面が光る舞台のように見えて誘われるように覗き込んでみたら
鏡のような水面に飽きられた人形のように
真っ白で何も無い目をした私が浮かんで消えていったような気がした
譜奏477