2020年1月3日

願いの生贄に

永久に視覚を失くす毒と

永久に聴覚を殺す毒のどちらかを選ばなくてはいけないとしたらと

私は蒼の夜をみつめながら自分に問いかけていた

そしてその問いに微睡んだ夢に火をつけた

夢のスクリーンはあっという間に炎に落ちて

私は確認をなぞるように確信して俄かに笑った

私のこの悪魔的な熱は一瞬の集結で火に変わることを

映像が表してくれたことがうれしくてたまらなかったからだ

願いは自身の衝動的な幸福にしか向かわない

その覚悟の無さが悪魔の最も得意とする疑似餌だとも知らずに

真実など無価値なただの出来事に過ぎない

私は願いを捨てて音楽に溺れて生き急ぐと蒼に向かってつぶやいていた

確かな新しい場所へ導かれていく力のようなものを感じていたからだ

 

譜奏476