願いの生贄に
永久に視覚を失くす毒と
永久に聴覚を殺す毒のどちらかを選ばなくてはいけないとしたらと
私は蒼の夜をみつめながら自分に問いかけていた
そしてその問いに微睡んだ夢に火をつけた
夢のスクリーンはあっという間に炎に落ちて
私は確認をなぞるように確信して俄かに笑った
私のこの悪魔的な熱は一瞬の集結で火に変わることを
映像が表してくれたことがうれしくてたまらなかったからだ
願いは自身の衝動的な幸福にしか向かわない
その覚悟の無さが悪魔の最も得意とする疑似餌だとも知らずに
真実など無価値なただの出来事に過ぎない
私は願いを捨てて音楽に溺れて生き急ぐと蒼に向かってつぶやいていた
確かな新しい場所へ導かれていく力のようなものを感じていたからだ
譜奏476