2020年1月6日

街の雑踏に身を委ねてどこかから聞こえてくる笑い声を背中で聞いて

私は約束の場所に繋がる川橋の上を歩きながら

この平穏で幸せそうな光景にはどうしてリアリティが持てないのだろうと

いつものように額から胸を行き来するノイズの音を聞き流していた

この川はあまり流れない

しかしそれが水辺に集まる鳥たちが休める穏やかさを保っている

やさしいということには意図がないということの教えなのだろうと思う

人はただ自分をみつけて自分を生きれば良いのだ

派手な舞台化粧であからさまに戯けてその場限りを笑わせても

素顔を隠すピエロは誰のヒーローにもなれないのだから

橋を渡り切る時何かが乱反射したような気配がして振り返って

川面が光る舞台のように見えて誘われるように覗き込んでみたら

鏡のような水面に飽きられた人形のように

真っ白で何も無い目をした私が浮かんで消えていったような気がした

 

譜奏477