この時計があれば
この時計の針が午前の零時を指すまでは
私は今日の私のままでいられるからと
色のない夢の駅に迷いながら
私は言っていた気がする
その時計は私の思い出を見続けて学習していた
幼い私が朝と夜を生と死のように感じていたことも
1秒に運命を待つ意識を持ち始めた日のことも
同じように狂いなく
私は明日という未来を脅えているのではなく
今日という未来に運命が作用しないことを怖れていると
この時計は戯けるように見抜いている
夜明け前の重い眠りから脱け出した私の影を
部屋のデジタル時計が終わらない嗜眠症のようにみつめていた
譜奏308