2018年12月10日

あまり好きじゃなかった水玉模様の傘を買った突然の雨の夕方

青信号を渡っていたら急に楽しい気分になってきて

手首を左右に返して雨粒の音と遊ぶように横断歩道を越えて

しばらく歩いた橋の上で立ち止まって

私は雨に打たれている川面に水玉を見せて

傘をクルクルと何度も回してみせた

どんなに丁寧に解り合おうとしても

胸に霧を残したままその霧が雲になって

雨になって落ちてくる人もいれば

少し乱暴に曖昧なワガママを見せても

胸に弾んだリズムの響きが想い出に棲みついて

月のない夜に蛍になって会いにきてくれる人もいる

人間は答のないジグソーパズルなのかもしれないと思ったら

誤って川面に落ちた水玉が思わずフフッと笑ったような気がした

 

譜奏309