2018年12月7日

この時計があれば

この時計の針が午前の零時を指すまでは

私は今日の私のままでいられるからと

色のない夢の駅に迷いながら

私は言っていた気がする

その時計は私の思い出を見続けて学習していた

幼い私が朝と夜を生と死のように感じていたことも

1秒に運命を待つ意識を持ち始めた日のことも

同じように狂いなく

私は明日という未来を脅えているのではなく

今日という未来に運命が作用しないことを怖れていると

この時計は戯けるように見抜いている

夜明け前の重い眠りから脱け出した私の影を

部屋のデジタル時計が終わらない嗜眠症のようにみつめていた

 

譜奏308