2018年12月3日

教会の古い地下通路を歩いているように

キメラの翼を広げて碧い空に向かっているように

永遠というフレーズに襲われる夜

私はもうこの言葉と関わってはいけないと思い

冷蔵庫から取り出した水を身体が嫌がるぐらいに飲んで

バイオリンコンチェルトのボリュームを上げた

思えば私は私を知るために

どんなに小さな疑問も好奇心も捨てることなく

最初にそう感じたところから丁寧な気持ちを失わないように

ゆっくりと組み立てて考えてきたように思う

そして最初にそれから最後に残った言葉を

今この夜に棄てようと決めている

人の想いは根を張るためにだけ心に生まれ落ち

それは宙を見上げる視力を持たないと気づいたからだ

 

譜奏306