教会の古い地下通路を歩いているように
キメラの翼を広げて碧い空に向かっているように
永遠というフレーズに襲われる夜
私はもうこの言葉と関わってはいけないと思い
冷蔵庫から取り出した水を身体が嫌がるぐらいに飲んで
バイオリンコンチェルトのボリュームを上げた
思えば私は私を知るために
どんなに小さな疑問も好奇心も捨てることなく
最初にそう感じたところから丁寧な気持ちを失わないように
ゆっくりと組み立てて考えてきたように思う
そして最初にそれから最後に残った言葉を
今この夜に棄てようと決めている
人の想いは根を張るためにだけ心に生まれ落ち
それは宙を見上げる視力を持たないと気づいたからだ
譜奏306