2018年11月30日

答えを出さない南風が何処かに吹いていったら

私を通り過ぎてしまった旅が続くだけなのにと

私は口を尖らせて名もない方角を遠くに見て

そしていつかきっと風の助けがなくても

私は方角など意にも介さずに歩いて行くのだろうと

南風が過ぎていった方角のあたりに目を泳がせていた

人がその場所にいる理由はそこに居場所があるせいだろう

他に必然的と思える理由は思いつかない

風に乗って落ちてくる種が目に浮かんだ

人の人生の終始とひどく似ていると思った

しかし何かが胸で円を描くようにノイズして

私はある希いを思い出していた

私は私の血で真紅の蘭のような色を作り

そして太陽が届かない場所で咲いていたいと思っていたのだと

 

譜奏305