夜に落ちて
眠りから醒めないように踊り続けるダンサーは
死と引き換えにしてもと高揚して
打たれるリズムに鼓動を撃ち合わせるようにぶつけて
やがて死線を追い越そうとするように
ルルベの拍頭を踏みつぶす誘惑を追いかけて
さらに闇に落ちていく夢の運命を知る
神から許された範囲の狂気というものがあるのなら
それは自身の肉体の命という対価で補えるものなのか
そうだとしたらその欲望を機能させているものを
人は運命に飾らないで猜疑していく必要がある
しかしもし神が介在していないとしたら
私もやはり醒めない夜に鼓動して
リズムを撃ち潰す誘惑に抱かれていたい種の人間だと思った
譜奏302