2018年11月23日

夜に落ちて

眠りから醒めないように踊り続けるダンサーは

死と引き換えにしてもと高揚して

打たれるリズムに鼓動を撃ち合わせるようにぶつけて

やがて死線を追い越そうとするように

ルルベの拍頭を踏みつぶす誘惑を追いかけて

さらに闇に落ちていく夢の運命を知る

神から許された範囲の狂気というものがあるのなら

それは自身の肉体の命という対価で補えるものなのか

そうだとしたらその欲望を機能させているものを

人は運命に飾らないで猜疑していく必要がある

しかしもし神が介在していないとしたら

私もやはり醒めない夜に鼓動して

リズムを撃ち潰す誘惑に抱かれていたい種の人間だと思った

 

譜奏302