2020年2月10日

旧約聖書では女性はただの悪ではなく人を欺くヘビなんだって

そしてエデンの園のヘビは誘惑が巧みで全部が嘘なんだって

それが女の本性だとドカンと書いてあるの

酷いにも程があるよね、物語の冒頭にこんなことを書くなんて

それで私聖書をぶん投げてそれ以降思い出すこともなかった

だったら女なんて創造しなけりゃ良いだけの話じゃないって思ったから

それがね、何年かした頃にね、違う角度でさ、比喩って言うのかしら?

コレってさ、なかなかのモンじゃないかって思うようになっちゃったの

説明は出来ないのよ、突然だったし私の感覚的なことでしかないからさ

比喩って分かりやすくするための例えとかある時は逆張り的というか

そういうものなんでしょ?、ということは悪も嘘も欺きもヘビさんも

きっと言葉通りの意味じゃないんだよね、何せ壮大な物語の頭にさ

女の本性の前提として書かれちゃってる訳だしさ、なんか引っかかる

ウー、気になる、ホント迷惑だワこの感じ

 

譜奏492

2020年2月7日

生きるには何かの覚悟が無ければ生の力学が作用しない

しかしその覚悟は欲望から生まれたものではきっとダメなのだろう

欲の芽はニュートラルの歪みからしか発生しないものだから

やはり相対しているのは死という透明な幻なのだろうか

叶うならその中間にもう少し輪郭だけでも見上げられるような

光輝くものが現れていれば分かりやすいのだけれどと思ってしまう

音楽彩画

ただ美しく悪魔的な色線で描かれた花絵を見つめながら

私は得体の知れない執着を持て余すように

高まりのような動悸のような鼓動のワームに包まれていた

自分しか知らない場所に作ったガラスの部屋に閉じ込めるように

美しく生きたいとだけ希っていた私は

起点の美しさを印象的に受け止めてきたに過ぎないのかも知れない

見上げるべき煌めきの空はきっと私の中にこそあるのだろうと思う

 

譜奏491

2020年2月5日

星の下で守られて生きていると思っていた頃に

私の名を呼んでいてくれた母の声がどんな声だったのか

思い出せない2月の夜明けの雨

いつか私の声もこんな雨音に忘れられていくのだろうと思ったら

何故かすーっと涙がこぼれ落ちました

過ぎ去るものを慈しんで見送ってきた私の人生は

私自身が主体から過ぎ去ってきたものだったのかも知れない

そんな想いが胸にコトンと固形物のように落ちた気がしていたのです

風を異形にする力が魔力なのだとしたら

私はその魔の力で舟の形を指で書いて乗り人となり

どこからか聞こえ続けてくる何かの音に向かって漕ぎ出したい

差し出すものは何も無いけれどと前置きして

見合うかどうかはあなた次第ですが良ければこの肉体を

このまま川辺に置き去りにしますからと答えて

 

譜奏490

2020年2月3日

道を間違えたところを見ていたように雨が降り出して

目に入る光が滲んだイルミネーションのように美しく見えた

思えば特に急いで行く必要のない場所に

私はいつも真っ直ぐムダ無く向かおうとしてしまう

緩めるということがなかなか上手く調整できないのだ

このまま車ごと空に飛んでいってしまいたいと思ったこともあった

そこに眩しい光の海があるような気もしていたから

時は何故流れていくのだろうと繰り返す

姿も見せず手で捕まえることもできないのに

本当の眠りに手が届かない私の一人座は

時の点に座ったまま白化していく珊瑚のようだ

過ぎてきた出来事も今そのものも静かに内なる火に灼かれ

やがては形容の無い色の灰になっていくのかも知れない

私が思う真実が私から逃げるように礁に戻っていくように

 

譜奏489