道を間違えたところを見ていたように雨が降り出して
目に入る光が滲んだイルミネーションのように美しく見えた
思えば特に急いで行く必要のない場所に
私はいつも真っ直ぐムダ無く向かおうとしてしまう
緩めるということがなかなか上手く調整できないのだ
このまま車ごと空に飛んでいってしまいたいと思ったこともあった
そこに眩しい光の海があるような気もしていたから
時は何故流れていくのだろうと繰り返す
姿も見せず手で捕まえることもできないのに
本当の眠りに手が届かない私の一人座は
時の点に座ったまま白化していく珊瑚のようだ
過ぎてきた出来事も今そのものも静かに内なる火に灼かれ
やがては形容の無い色の灰になっていくのかも知れない
私が思う真実が私から逃げるように礁に戻っていくように
譜奏489