2019年10月16日

手を噛んだ仔犬が申し訳なさそうに見上げる目と

痛がったふりをした子供がごめんねと見つめ返すような

そんな形容しか浮かばない2人のツーショット写真が

私のスマホの家に静かに収まっている

まだ小学校に行き出したばかりなのに

私の髪は今と同じくらいに長く甘く巻かれていて

見つめ返していた子の頭は切られたばかりのようなオカッパだった

私が歌っていた歌を自然に覚えて2人で歌うようになって

春の陽の道を歩いた強い光を私は忘れることはない

その後あの目は何を見て何を求めて生きたのだろう

美しいものを見て生きることはできたのだろうか

小さくその名を呼ぼうとした時

先に私を呼ぶ声が聞こえてきたような気がして

私はどこかを見上げ涙をためた目でごめんねとつぶやいていた

 

譜奏442