手を噛んだ仔犬が申し訳なさそうに見上げる目と
痛がったふりをした子供がごめんねと見つめ返すような
そんな形容しか浮かばない2人のツーショット写真が
私のスマホの家に静かに収まっている
まだ小学校に行き出したばかりなのに
私の髪は今と同じくらいに長く甘く巻かれていて
見つめ返していた子の頭は切られたばかりのようなオカッパだった
私が歌っていた歌を自然に覚えて2人で歌うようになって
春の陽の道を歩いた強い光を私は忘れることはない
その後あの目は何を見て何を求めて生きたのだろう
美しいものを見て生きることはできたのだろうか
小さくその名を呼ぼうとした時
先に私を呼ぶ声が聞こえてきたような気がして
私はどこかを見上げ涙をためた目でごめんねとつぶやいていた
譜奏442