2019年9月25日

もし何かに生まれ変われるとしたら

わたしはカモメになって海風を感じてみたい

愛を失くした人の悲しみをみつめ

さびしさに打ちひしがれる人の涙に寄り添い

明日のように円を描いて鳴いてあげることも出来るから

私を含む人として罪に属す一番の醜さと思えるのは

自分より不幸そうな人を見つけ出して覚えておくように努めて

食べ続けなければ維持出来ない安堵に似た感情を得ることだろう

何故そんなつまらない遺伝子が繋がれてきたのだろうか

今日気が触れたように喋り続けながら歩く人を見かけた

すれ違いざまに数人が笑い多くの人が汚物のようにその人を避けた

そして何事もなかったかのように普段の日常の光景に戻っていた

誰もその空気感の中で憐れみの目を持つ人がいなかった

私には皆同じ毒をワクチンのように飲んでいたかのように思えた

 

譜奏433