もし何かに生まれ変われるとしたら
わたしはカモメになって海風を感じてみたい
愛を失くした人の悲しみをみつめ
さびしさに打ちひしがれる人の涙に寄り添い
明日のように円を描いて鳴いてあげることも出来るから
私を含む人として罪に属す一番の醜さと思えるのは
自分より不幸そうな人を見つけ出して覚えておくように努めて
食べ続けなければ維持出来ない安堵に似た感情を得ることだろう
何故そんなつまらない遺伝子が繋がれてきたのだろうか
今日気が触れたように喋り続けながら歩く人を見かけた
すれ違いざまに数人が笑い多くの人が汚物のようにその人を避けた
そして何事もなかったかのように普段の日常の光景に戻っていた
誰もその空気感の中で憐れみの目を持つ人がいなかった
私には皆同じ毒をワクチンのように飲んでいたかのように思えた
譜奏433