肩から払いのけるように
愛で守れるものに走っていったら
昔のように話しかけて両手に抱えて
憧れを示したほうがいい
愛は飽き性で
意のままにならないことを嫌うから
腕から抜けていく鼓動を感じたら
孤独を覚悟し尊重した態度を示しながら
救いが必要なことを知らせよう
愛は主観しか持たず
無視されたとしか受け止めないから
そして面倒くさくなったら放置すればいい
殺さなくても愛は対する者を失なえば
すぐに死んでしまうものだから
譜奏270
肩から払いのけるように
愛で守れるものに走っていったら
昔のように話しかけて両手に抱えて
憧れを示したほうがいい
愛は飽き性で
意のままにならないことを嫌うから
腕から抜けていく鼓動を感じたら
孤独を覚悟し尊重した態度を示しながら
救いが必要なことを知らせよう
愛は主観しか持たず
無視されたとしか受け止めないから
そして面倒くさくなったら放置すればいい
殺さなくても愛は対する者を失なえば
すぐに死んでしまうものだから
譜奏270
いつかの聖夜から
本当にこれがあなたの望む生き方なのと
傷ついたレコードのように
微睡みに落ちかけるたびにくり返される声が聞こえる
声は星空から反響してくるようにくぐもっていて
すべてを一括りにする録音物のように聞こえた
私は腹立ちを覚え言い返そうと思いながら心を噤む
あなたは誰なの
わたしの何を測ろうとしているの
それから私は胸を閉じて考えられなくなるまで考えて
いつものように何かの罰のように眠りに落ちていきながら
やっとあの夜何かを見落とした記憶に気づいていた
星空を見上げながら描きかけたクレヨンの聖夜は
眠ってしまった私の絵だったということを
譜奏269
嘘の思い出話で泣けるナルシストが
自分の真摯な孤独に包まれる夜
わたしはどうしてこんな人間になってしまったのかと考えた
振り返ってみても家族はみんなマジメ過ぎるほど真面目
世間のレールから外れた人間はいない
夜明けまで考えてダメだったら2度と考えないと決めて
その彼は誰れ時
多分心が弾むようなことを身体で感じたかったのだと気がついた
そしてこんな自分になったのはあんな家庭だったからだと思った
わたしは夢を食べる
語るだけの夢を食べる
平安の形は人それぞれに違うのだからと
少しだけ笑ってそのあと
泣いてることに気づいて顔を見るために鏡を探していた
譜奏268
闇に堕ちた涙が月に映る時
砂を払うように過ぎた風が
カヤツリ草で編まれた聖書を浮かび上がらせて
めくれた頁にはその月の記述があったと
書士たちに伝えられて
人々は目に見えぬ支配の兆しを嘆いたという
原始
人は罪の種子を与えられ
その発芽のもがきに月を崇めた
種子など死人のように葬ればよかっただけなのに
私は示温インクで書かれた文字に潜在し
読み表れるための熱を待ち続けているように
時という絶望の河の流れに意識を委ね
渇いていく紙の端音に弱い鼓動をと希っていた
譜奏267