2018年9月3日

闇に堕ちた涙が月に映る時

砂を払うように過ぎた風が

カヤツリ草で編まれた聖書を浮かび上がらせて

めくれた頁にはその月の記述があったと

書士たちに伝えられて

人々は目に見えぬ支配の兆しを嘆いたという

原始

人は罪の種子を与えられ

その発芽のもがきに月を崇めた

種子など死人のように葬ればよかっただけなのに

私は示温インクで書かれた文字に潜在し

読み表れるための熱を待ち続けているように

時という絶望の河の流れに意識を委ね

渇いていく紙の端音に弱い鼓動をと希っていた

 

譜奏267